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7/03/2012

調整力

他の会社でまともに働いたことがないので、全くもって視点が偏っているとは思うのですが、大企業と言うのは「調整」という名前の内向きの仕事が多すぎる印象があります。

「調整」というのはどういう仕事かと言うと、必要な人に必要な情報がちゃんと届いていて、必要なタイミングで必要な行動、意思決定をしてもらえるようにすること、と定義できるかと思います。根回しといってもよいでしょう。価格の交渉にしても仕様の決定にしても、サンプルの納期にしても、どこかで「その話知らないんだけど」となると途端にフローが止まります。というか、その知らない人が余計な突っ込みを入れてきたりするもので、より事態が面倒になっていきます。


大企業病というのか。。。?とにかく絡み合う人が多すぎてあちこちに気を配ってメールなり電話をして、と、社内向けのコミュニケーションが客とのコミュニケーションを遥かに凌駕する事態に陥るのです。大企業病、というか、それ以前の問題のような気もします。ある程度の企業になると社内の業務を効率的に進める為にシステムが整ってきているものだと思うのですが、上記のような理由で仕事が止まるのは、皆の顔と名前がお互いに把握し合える中小企業のような感覚ですよね。価格の見積もりを依頼してきているそのお前はまずナニヤツぢゃ。と、そこから入るのです。そしてその後ここに至る背景を延々と説明。その後に本題。


そして、仕事のデキる人というのは、得てしてキーマンに顔が利く人のことを言うのです。
何か不毛じゃね?そんなの他の会社に行ったら通用しない、内弁慶じゃね?
と。

思うのですが。

ただそれもよしあしではあるのです。

・良い点その1
案件に関わる人々が、皆同じレベルで情報を持って理解しているので、いざと言う時に一致して力を注ぐという状態を作り易い。
・良い点その2
皆が自分の仕事の範疇にはない事でも知っていて、ある程度の当事者意識を持っているので、お互いに別の視点から意見を出し合い易い。
・良い点その3
内側に入ってしまえば、多少の無理は「しょうがねぇなぁ」と言って聞いてくれるので、お互いの利害が反発して議論がデッドエンド→客の要求に対応できず終了。という事態は招きにくい。その対応が、客に対してはMake differenceとして有利に働くことがある。

他にもありそうですね。

大学の卒業論文で、教育学部でありながら野中郁次郎氏の「知識創造企業」を取り上げました。イノベーション(新たな「ナレッジ」)を起こす組織の条件として、「意図」「自律性」「ゆらぎと創造的なカオス」「冗長性」「最小有効多様性」の五つが挙げられています。この「調整」という仕事は、これらを担保する為に少なからず寄与しているのでしょう。
と、思うと、少し納得しました。非常に大事なスキルであり、その視点を持って仕事ができれば外に行っても通用するかもな、と思います。



要は、調整と言うのは簡単に言うとみんなが気持ちよくスムーズに仕事ができるような環境を整える仕事ですね。イメージとしては、部活のマネジャーみたいなものでしょうか。ということは、これこそがマネジメントということになるのでしょうか?ちょっと違う気がしますね。今更ながら、「もしドラ」を読んでみようと思いました。